歩行と寿命の関係

歩行

地方によっても違いがでる

皆さんは普段、どれぐらいの速度で歩いているでしょうか。
正確な自分の歩行速度を把握している人はあまりいないかと思いますが、周りの人と比べて速い方なのか、遅い方なのか、というぐらいならば分かっている人も多いことでしょう。
さて、そんな歩く速度については、よく「性格」が現れるなんてことが言われます。
ごく単純なことではありますが、速く歩く人はせっかちで、ゆっくり歩く人はマイペース、という程度のものです。

また、地域によって歩く速度の平均が違うということもよく言われます。
東京に比べて大阪の方が歩く速度が速い、というようなことが言われることも多いでしょう。

さて、そんな「歩く速度」ですが、それほど重要なものだと思っている人はあまり多くないのではないでしょうか。
しかし、実はこの歩く速度というのが「寿命」に関係しているという説が2011年に発表されました。

この説というのは、ジャーナルオブアメリカン・アソシエーションで発表された論文である「Gait Speed and Survival in Older Adult」の中で紹介されています。
この論文では65歳以上の多くの人達の寿命と歩く速度を比較しています。
この論文の結論によると「平均よりも速く歩く人は、平均よりも寿命が長い」というものでした。
では、なぜこのような結論に到るのでしょうか。

歩行速度がなぜ寿命に?

この論文の中では、歩行速度と寿命の相関性が紹介されているものの、なぜ歩行速度が早い人ほど長生きするのか、ということについては明確な結論が出されているわけではありません。
論の中での憶測によると「歩行」が様々な日常的な活動や運動機能に影響されていることが関係しているとされています。
速く歩くためには筋肉の動きや呼吸の早さ、心拍の正常さなどが影響しており、これらが総合的に優れていなければ速く歩くことができないということです。

つまり「速く歩くから長生きする」のではなく「長生き出来るような身体だから速く歩くことができる」という相関関係になっているのではないか、という考え方がされています。
また、これに加えて「歩く」という行為自体が健康に対して与える効果も大きく、結果的に多く歩く人が速く歩くことになり、それが健康に結びついているのだと考えられています。
普段あまり歩かないという人は、歩くクセを付けるようにすると長生き出来るかもしれません。