日射病と熱中症の違いとは

紫外線

夏が近づくと注意

夏が近づき、気温が上がってくると色々と楽しいことも多くなってきますが、同時に注意しなければならないことも多くなってきます。
毎年のように6月の終わりから7月頃になると「熱中症」や「日射病」による被害のニュースが飛び込んでくるのを見たことがあるでしょう。
こういった病気というのは、ちょっと暑さにやられたというだけのものではありません、最悪の場合死に到る、重篤な症状であることを知っておく必要があります。
ただ、実際のところこの「熱中症」や「日射病」、あるいは「熱射病」というものがどのようなものであるのかを詳しく知らない人も多いのではないでしょうか。

特に「熱中症」と「日射病」が同じものであると考えている人も多いかと思います。
具体的にこれらの病気がどのような内容のものであるのかについて紹介します。

まず「日射病」というのが何者なのかというと、これは気温の上昇にともなって体温が上昇したことによって発生する「立ちくらみ」のような症状のことを指しているものです。
体温が一気に上昇すると体内で脱水の症状が起こり、血液量が不足してしまうことで脳の働きが弱まり、立ちくらみや失神のような症状を引き起こすことがあります。
また、太陽光自体が問題となって発生している場合について「日射病」という表記が用いられる場合もあります。

次に「熱射病」についてです。
熱射病は気温の上昇によって発生する症状の中で、最も重篤な状態になっていることを指している言葉です。
日射病の症状はこの熱射病の症状の1例として扱われることになります。
つまり、日射病も熱射病も、いずれも名前に反して「症状」を示しているものだということになります。

そして最後に「熱中症」についてです。
熱中症は日射病や熱射病なども含む、「気温の上昇によって発生する症状全般」のことを指している言葉です。
上記のような症状の他にも多くの症状が発生する可能性があり、比較的曖昧な定義になってしまっているためにこのような1つのくくりとして呼ばれるようになりました。
熱中症という言葉は日射病、熱射病に比べると新しく登場したものであり、自分が子供の頃にはあまり聞くことがなかったという人も多いのではないでしょうか。

熱中症の症状と対策

それでは、より具体的に熱中症によって発生しうる症状について紹介します。
熱中症には重篤度が3つの段階で設定されており、「軽症(1度)」、「中等症(2度)」、「重症・重篤(3度)」と分類されています。
それぞれの重篤度に含まれている症状について紹介します。

まず「軽症」については「めまいや失神」「筋肉痛やこむら返り」、「大量の発汗」のことを言います。
めまいや失神については日射病の中で紹介したとおり、脳に対する血流量が減少してしまうことによって発生するものです。
筋肉痛については、体内の水分が失われることによって体内の塩分濃度が下がってしまうことで発生する症状です。

次に「中等症」についてですが、「頭痛」「吐き気や嘔吐」「倦怠感や虚脱感」などが症状として含まれます。
これらの症状については纏めて「熱疲労」と呼ばれることもあります。
この段階になると重篤な症状になりかけているという状態であるため、適切な処置が必要となります。
場合によっては病院に掛かることも考慮しなければなりません。

そして最後に「重症・重篤」の症状については「意識障害」「けいれん」「高体温」などが現れます。
意識障害やけいれんが発生するのは熱中症の中でも特に重篤な症状であり、極めて重度の問題が発生していることを意味します。
早急に病院に掛かり対処をしなければ、死に至る可能性がある他、場合によっては障害などが残ってしまう可能性もあります。

では、熱中症の「危険」バロメーターというのはどのように判断すれば良いのでしょうか。
熱中症の発生を促すのは、なんといっても「高気温」です。
ただ、同時に「高湿度」であることも重要なポイントとなっており、この2つが噛み合った時に危険度が上昇します。
注意しておきたいのが、夏場だけではなく、秋口などのシーズンでも熱中症を起こしてしまう可能性があるということです。

特に高齢者の場合については、自己体温の管理機能が衰弱してしまっている場合があり、通常の気温状況下に於いても問題が発生してしまう可能性があります。
十分に注意をして対応しなければなりせまん。

最近では地球温暖化やヒートアイランド現象の影響に加えて、原発事故以降の「節電」の風潮によって「屋内」で熱中症を引き起こすケースが多く見られるようになっています。
節電をしてエコに気を遣うのは確かに立派なことではありますが、夏場になったら必ず適切に冷房を使い、身を守るようにしましょう。
自分が暑いと感じていないとしても、身体の中では大きな問題が発生してしまっている可能性もあります。