日本人が桜に惹かれてしまう理由とは?

桜

花見の起源は?

桜の季節になると日本中が花見を楽しみにしているのではないでしょうか。
テレビのニュースでも花見の時期を予想したり、花見の賑わいを伝えています。
このように日本に根付いている花見の起源についてのご紹介です。

日本後記によると嵯峨天皇による花宴が花見の起源と言われていますが、実はその前の奈良時代から神事的なこととして花見の存在はありました。
昔の花見は梅や桜が対象で、梅の方が主流だったようです。
これらの花は田植えの時期を教えてくれる田植えの神さまと考え、田植えの神さまを祝うという意味がありました。

また花宴としての花見も、その時代の歌には梅の花のことが多く詠われていました。
そして今現在のどんちゃん騒ぎや花より団子といったイメージはまったくなく、美しい花を楽しむという上品な宴だったのです。

これが貴族の世界の上品な催しとして、貴族を羨望の目で見ていた武士もまねをするようになりました。
秀吉の花見などはとても盛大だったと歴史上でも有名ですが、この頃はもう梅ではなく桜を楽しむようになっていきました。
その後、徳川幕府になった後は庶民も楽しめるようにと、桜を沢山植えたと言われており、この頃から庶民の楽しみとして広がっていったのです。

四季のある日本にとっての桜の魅力

四季のはっきりしている日本では、はやり寒い冬が明けて春になると、心も体もうきうき楽しい気持になってくるものです。
そんな時期にパーッと満開に咲く桜は、まるで新しい年の幕開けのようなイメージがあります。
このようなことからも日本人は桜が大好きなのです。

日本人の心情にあっている

桜はパーッと満開になると、それはもう豪華に華やかに咲き乱れますが、その期間はせいぜい1週間から10日ほどとあっという間に散ってしまいます。
パーッと咲いてパッと散るという、清々しさを感じる「潔さ(いさぎよさ)」や「はかなさ」に対する日本人の持つ美学と桜がぴったり合っているのです。
美しいものほど命は短く、そのはかなさにこそ美があるという心情は、今の日本人でも持っているのではないでしょうか。

また桜の花1つ1つはとても華奢で弱々しいはかなさがあり、その上薄いピンクも主張の少ないはかなさを感じます。
日本では主張しないことこそ美徳と考えられていた時代もあり、やはり弱々しくはかなく美しい桜には心引かれるのです。

希少性が愛おしく感じる

桜は1年に1回だけ、あれほどの素晴らしい満開の花を見せてくれますが、人生を考えると、生きているうちに数十回しか見られません。
高齢者になるほど、毎年しっかり目に焼き付けておこうという気持を持つこともあるこではないでしょうか。
昔はもっと寿命が短かったわけですから、その気持はもっと強烈だったはずです。